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ものごとをそのまま記述するということ

その事象を扱ったテキストほど恣意的改変に満ちている

f:id:lovelovebear:20080106145729g:imageある一つの事象、仮にこれをAと名付けるが、そのAを調査研究するにあたって事象Aとそれを補足するキーワードを含むテキストを網羅的に俎上にあげてその中から最大公約数的共通項をリストアップしていくのがAを知るための手っ取り早い方法であるとされるがそれはまた多く採用され、結論Xを導き出す方法であるがそれは大きな落とし穴を孕んでいる。なぜならば事象Aとその補足的キーワードを多く含むテキストほど事象Aを正当化するかあるいは批判的に扱うかのテキストである可能性が高いからである。そもそも事象Aの持つ意味が大きければ大きいほど事象Aは思想的に扱われることになる。その思想が政治と結びつけば尚更だ。故にそうした研究態度は学問的、あるいは客観的とは言えない。

f:id:lovelovebear:20080106145728g:imageそこで事象Aを研究する方法論として採用されるのは一旦前述の方法で恣意に満ちた共通項を抉り出した後、同年代同地域の様々なテキストを比較検討して先に得られた結論Xから恣意的部分を取り除いて結論X’を導き出す方法である。そうした方法を採用すれば、反証に堪えうるいくつかの時間的前後関係を確定しうる要素を組み併せて作業仮説を立てそれを地道に論証していく方法に可能性が見いだせることになる。なぜなら事象Aは連続した時間の上の一断面でありそれだけで自立する事象ではあり得ないからである。しかしこの方法を採用すれば事象Aは研究者の思惑とはまったく違う意味を持つ結論X’になってしまう可能性もあるわけで、それを受け入れることも含めてこれが正しい学問的研究態度と言うべきことになろう。

f:id:lovelovebear:20080106145726g:image故に事象Aとそれを補足するキーワードを含むテキストを網羅的に俎上にあげてその中から最大公約数的共通項をリストアップして思想的に満足の得られる結論Xを得られる場合喜んでいるのは思想的に事象Aを利用したい人ということになる。あるいはその段階で批判的に扱うテキストも含めて検討しているので事象Aは結論Xであると喜んでいるのは極めて楽観的か杜撰な思考しか持ち得ぬ人ということになるが、悪質なのは正当化にせよ批判的に扱っているにせよそれらの資料を検討しているのだから事象Aは結論Xであると思想的、政治的主張をする人々である。そういう人たちはすぐに事象Aは「原点」などと時間を無視した空間的なあるいは場所的な一元論を元に自らの思考様式の杜撰さをさらけ出しながら主張するので分かり易いが僕たちは人間は複雑で難解な時間的思考より、直感的でラクチンな空間的なあるいは場所的な一元論に陥りやすいので注意が必要だと思う。そして何よりも彼らは結論X’を受け入れないことが多い。当然結論X’は彼らの思想信条に反することもあるからである。

陥りやすいバカの壁

f:id:lovelovebear:20080106145834g:image養老猛氏はそうした思考方法をバカの壁と言ったが最近の南京事件日韓併合の議論をみるとやっぱり人はそのバカの壁に陥りやすいと思いました。一次資料と称して当時の日本政府や朝鮮総督府の官報を持ち出して自説を主張するひとや反省の「原点」と称して南京事件を扱う人たちを見るとね。反省の「原点」などという輩はいったい何を反省して自己の問題とするのか聞いてみたい気がするがどうせ軍国主義の批判をするだけでそれに連なる自己の一元論的思想構造の反省などなにも聞けやしないんだろうね。