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iTunes 6、のまネコ問題、楽天とTBSに見る光と陰

この三つのニュースはネットの進化を象徴している

 アップルによる iTunes 6 と iPod Video の発表、のまネコ問題に端を発するエイベックスの 2ちゃんねらへの謝罪、楽天のTBS株取得と経営統合へのラブコールとここのところネットを軸にするニュースがポンポンポンと立て続けに続いた。この三つのニュース直接の繋がりはないように見えるし、繋げて見せてくれる既存メディアからの議論も見かけない。ところがどっこいこの三つの出来事はネットがインフラの整備と端末の低価格化によって音楽配信やビデオ配信、放送や新聞などの既製商業メディアベースの利益構造を大きく突き崩しながら消費者のライフスタイルを変化させ、双方向性によって主導権を消費者へ渡し、そこで上がる利益を消費者の変化するライフスタイルを提案しサポート出来る企業へとシフトさせていくメディアの大きな地殻変動の象徴的な出来事なんだよね。

 この既存メディアに興りつつある大きな地殻変動を更に推し進めるニュースがアップルによる iTunes 6 と iPod Video の発表であり、その地殻変動による消費者の価値観の変化を読み取れないのがエイベックス、のまネコの商標登録なんざ「南無妙法蓮華経」を創価学会が、「アーメン」を統一協会が商標登録するくらいのボンクラぶりでさ。そのボンクラなエイベックスへの援護射撃のつもりか?のまネコ問題をことさら2ちゃんねるでのエイベックスへの殺人予告や放火予告などの書き込みを取り上げて2ちゃんねるの匿名発言の無責任さを論い2ちゃんねるを貶める印象操作(*1)を繰り返しているのが地殻変動をなんとか食い止めたい既存メディア。その既存メディアは先のライブドアフジサンケイグループ報道でもそうだったようにTBSに好意的で楽天を批判的に扱いながら楽天村上ファンド連携の疑いをクローズアップし問題の本質をメディアの地殻変動から逸らして消費者の目を IT 成り上がりによる敵対的 M & A にすり替えようと躍起になっている。彼らとしては既得権益は守りたいのだから当然と言えば当然だけど消費者としてはそんなのに同情する必要はない\(^O^)/ 

 アップルによる iTunes 6 と iPod Video の発表は一見 iPod Video がセンセーショナルに見えるけどあれは実際年末の消費戦争でウォークマンに終焉をもたらしソニーに死亡宣告をする程度の意味しかもはや持っていないと思う。日本ではセブンイレブンでの販売も始め、アメリカでは発売されるほとんどのクルマに装着出来るという着想はアップルらしくて小気味がいいくらいだけどディズニープロダクションがコンテンツ資産を僅か1.99ドルで iTunes ミュージックストア(以下 ITMS)に提供するばかりでなくディズニープロ製作のテレビ番組が翌日には ITMSポッドキャストビデオのリストに載る(当面は米国だけでの販売)と言うニュースに比べたら些細なことでしかない。今でさえハードディスクビデオレコーダーを購入した消費者の約半数が CMスキップ機能を利用しているという現実は ITMS でコンテンツをポッドキャストビデオによるストリーミングで視聴して同時にHDにも合法的に保存できると言う選択肢はテレビでの広告にさえ終焉をもたらす\(^O^)/ 広告は Google AdSense みたいなのが主流になっていくだろう。インタラクティブなネットは消費の判断材料に再び口コミを復権させた。タレントを起用してイメージで売りつけるドロップダウンのマーケティングによる広告はまもなく終焉を迎える。

 近い将来はテレビはIP接続してストリーミング出来なければ生き残れないだろうと言われていたのをアップルとディズニープロはホントに始めちゃったわけだよ、それもテレビ局ぬきで。日本ではまだどうなっていくのか分からないけれども楽天の発表はタイミング的にはとても良いと思う。TBS と話がまとまれば極端な話 アップルの用意するサプライヤー向けの API に準拠させることでコンテンツは ITMS に載ることになる。楽天だって自前でコピー管理(ITMS の場合 iPod も含めて五台までの端末にコピーを置くことが出来る。端末を買い換えても登録した端末を抹消すれば新しい端末にまたコピーできるようになっている)も含めたネットショップを用意するより ITMS に乗せちゃったほうが管理コストはかからないし第一消費者の受けがいいだろう。そうなればどこのテレビ局が ITMS にコンテンツを早く提供するかが勝負の分かれ目になる。ニュースだってポッドキャステイング出来てしまうのだ。好きな時に好きなコンテンツが見られる!こんなサービスは消費者に認知されたら利用者と頻度は爆発的に増殖するのはおなじ ITMS音楽配信を見れば明らかだ。エイベックスやソニーなど日本の他の音楽配信サービスが束になって2ヶ月かかった100万曲を ITMS ではわずか4日で売ってしまった。米国や欧州では既に5億曲の販売実績があるそうな。受信料収入が大幅ダウンの HNK なんか思い切ってやってみたら起死回生の起爆材になるかもよ。放送は公共性があるなんて独りよがりを言っていても始まらない。企業というのは放送に限らずみんな公共性があるものなんだ。TBS よ、生き残りのチャンスを逸しちゃいけないぞ!

 そして最期に小泉首相にお願い。地上派デジタル化(*2)に莫大な予算をつぎ込んでいざ始めて見たらもうみんなテレビは光ファイバーによるポッドキャストでしか見なくなってしまっていたなんてことがくれぐれもないよーに。地上派デジタルを中止!なんて貴男にしか出来ない決断かもしれないよ。だいたい既に我が家ではテレビ受像器は必要ない。Mac があれば事足りる。実際 PowerMac G5 から Mac MiniPowerBook に到るまで我が家では5台の Mac が稼働していてテレビも見たいコンテンツはほとんど CM スキップのハードディスクレコーデイングだし、iPod も大活躍している。ajita さんご紹介の スマナサーラ長老の法話のポッドキャステイングは移動中に iPod で聞いているがこれは便利で実に時間を無駄なく使うことが出来る。テレビのコンテンツが ITMS でワンクリックで購入出来れば更に大して面倒でもないハードディスクレコーディングのセットすらも必要なくなる。そんな Mac だが Amazon の物販部門ではiBookiMac シリーズでベスト3を独占している。2005年度のアップルの通年売上高は139億3,000万ドル、純利益は13億3,500万ドルで、それぞれ前年比68%および384%増。これは同社設立以来最高の通年売上高および純利益だそうでその勢いは止まらない。前四半期中に1,236,千台のMacと、6,451千台のiPodを出荷。それぞれ前年同期に比べ、48% (Mac)および220% (iPod)の増加だそうだ。保守的で独創性のない日本の家電メーカーさん。地上派デジタルに向かって方向違いな商品開発に突き進んでしまって気がついたら家庭のテレビはほとんど iMac でのポッドキャスティングになっていたなんて笑い話がくれぐれもないよーに。そーいうわけでこの三つのニュースの関連性、分かっていただけたかな?

元記事(ngp-mac.com/kumarin)へのコメント

Chuck_UGOneChuck_UGOne 『興味深く拝読しました。

確かに3つの出来事は、密接に関連しているといえども、その描き出す未来像は、未だ明確ではないこともあらためて感じます。

私個人の感じている核心的な部分は

「コンテンツって結局何者?」(その価値の源泉とは?)

「広告って結局何者?」(その価値の源泉とは?)

というところです。

シンプルに考えれば

・コンテンツの価値の源泉-コンテンツから得られる満足の対価

・広告の価値の源泉-広告による購買行為から得られる利益を上限とした対価

ということになるのだと思いますが、

果たして、

コンテンツとは「わざわざお金を払って購入してまでそれを得たい」

という人たちだけでどの程度のマーケットが維持できるのか、

というところが1つの疑問、

そしてそのことによって、いわゆる”集客効果””口コミ効果”というものへの認識が変わってくるなかで、

将来的に「広告モデル」というものがどこまで維持発展しうるのか、

というところがもう1つの疑問です。

「コンテンツ」も「広告」も、”大衆文化”の隆盛と軌を一にしてきたものとみるならば、

現在のネットをめぐる動きには、”大衆文化”の隆盛というよりも

”個人もしくは同人文化”の隆盛という色付けを強く感じる中で、

果たして、テレビや新聞、雑誌といったブロードキャスト型メディア

衰退の後に起きることはなんだろうか、

それはハッピーなことなのかどうか、

というところに確信を持てずにいます。

—?

恐らく、マスメディアも何らかの形で細々とは生き残り、広告も様々な形をもちつつ、今よりも市場を縮小して生き残っていくことにはなると思うのですが、

その時にインターネットはどういう役割を果たしているのか、

それは既存マスメディアに比して、社会厚生上プラスのものになりえているのか、

この流れは長期的には恐らく不可逆的なものとはいえ、

あまりにも、人間個々人への信頼に依拠しないと成り立ちにくいシステム

(逆に依拠することができず、一部の人々に恣意的に活用されると、非常に危険なものにもなりうるシステム ; インターネットのほうが、複製・成りすましetc.の技術も活用しつつ、既存メディアに比してより少人数で方向性を決定・主導しやすい部分も)

であるように感じてなりません。

・自分でコンテンツの良し悪しを判断できるか

(それも、短期的なノリだけではなく、今後数十年、数百年の人類の発展まで見通して?)

・自分で購買行動を事前にどこまで分析し、判断できるか

(同上)

ここに信頼のおける社会を同時に築いていこうとしない限り、

今後の社会はハッピーにならないような感を抱いています。

これは既存メディアの行く末と独立して、しっかり考えて

いかねばならない問題だと思った次第ですが、いかがなものなのでしょう。』 (2005/10/16 11:10)

*1: こうした印象操作に立ち向かう2ちゃんねるの可能性と2ちゃんねるの持つ権力については essa さんの「圏外からのひとこと:2005-10-13 モナーの著作人格権は場の管理者に -- 離脱可能な独裁権力」での essa さんの「フォーク」の論理を踏まえています。

*2:地上派デジタル化とアップルコンピュータの可能性については Satoshi Nakajima さんの「Life is beautiful:アップルにして欲しい次の革命」の記事を踏まえています。(*1)(*2)をそれぞれをお読みいただければより分かり易いかと思います。