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大アジア思想活劇 @BODDO が本になる!

Culture 仏教

大アジア思想活劇 @BODDO が本になる!

 日本が仏教を外来の、他者の思想としてその真意をキチンと受け入れるチャンスは二度あった。それは仏教伝来の時と明治期における西欧インド学伝来の時であったが明治のそのチャンスに日本にとって仏教はあたかも自らの内なる思想であって外来の他者の思想として批判的に真摯に学び直すことをさっさと放棄したのが内なる伝統的自己思想の顛末であったとは袴谷憲昭氏のご主張だが、骨の髄まで本覚思想に浸りきった日本仏教の中にも、それを外来の他者の思想として学び広めんと藻掻きながらも無念にも大勢に押しつぶされていってしまった人々の悶々たるドラマが維新後の明治日本の中で展開されたことを知る人は意外と少ない。それは単に我が内なる伝統的な自己による妨害というよりも信仰を迷信だと切って捨ててあたかもそれが近代的な学問の態度であると嘯きながらアメリカ独立宣言を模倣してちゃっかり学問のすすめに忍び込ませてベストセラーにして見せた福沢諭吉に代表される近代的知識人の論理によって立ちはだかった「はしか」のような科学万能主義の小児病的な大きな障害であったなら日本の近代化の上で避けて通ることが出来なかった道であると悔しさまみれに振り返るのも致し方ないことなのかも知れない。

 むしろ福沢のような思想も日本の伝統的自己の延長に過ぎない短絡的な歴史断章取義と考えている僕にはそうした熱しやすい日本のムラ社会と仏教がどのように関わり対立したかが興味津々でもあるのだが、そんな日本近代化のうねりの中で繰り広げられた精神史のドラマを本質を突きながらも面白可笑しく物語り風のノンフィクションにまとめたのが ひじる日々 東京寺男日記 の ajita さんこと佐藤哲朗さんである。この物語は最初はメールマガジンで、やがて 大アジア思想活劇 @BODDO としてサイトにまとめられ、末木文美士博士のたしか『近代日本と仏教』にも取り上げられたが、とうとう オンブック から『大アジア思想活劇』ISBN4-902950-35-9 C0014 として出版されることになった。ある意味主人公のひとり野口復堂の講談のようにリズム感とスピード感も溢れる文章タッチだからこういうテキストこそ単行本や文庫本で通勤・通学の時に読めたら楽しいだろうなぁと思っていったのでこれはとても嬉しい出来事である。日本の近代的自我の確立のプロセスやら近代化に興味がお有りの方なら読んで為になることや、楽しめることはあっても決して損はしない本だと思う。お勧めの一冊ですよ。

元記事(ngp-mac.com/kumarin)へのコメント

佐藤哲朗佐藤哲朗 2006/6/8 10:12

ご推薦いただきありがとうございます。アジ活著者です。原稿チェックしてると細かい間違いだらけで冷汗の日々です。もとより資料大杉の近代史ゆえ恣意的なまとめとの批判は免れませんが、とにかく相互を意識しあった本当の「仏教世界」が誕生した経緯(の一端)を少しでも多くの方に知っていただければと思います。

~生きとし生けるものが幸せでありますように~

佐藤哲朗



kumarinkumarin 2006/6/11 16:54

佐藤さん、こんにちは。

 なぞってみようとされる物語が物語だけに恣意的なるのはやむをえないこと。恣意的にしておかなければマジョリティーの歴史の中に埋没してしまうんですもの。むしろこの物語がネットから飛び出して誰でも何処でも読むことが出来るようになったことを嬉しく思います。

 アビダンマ講義シリーズ〈第2巻〉心の分析—ブッダの実践心理学 も昨夜アマゾンで注文しました。ますますのご活躍をお祈りします。


~お幸せでありますように