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足尾銅山観光

複雑な過去をそのままに 観光で町おこしを図る足尾町

 わたらせ渓谷鉄道に乗って通洞駅から直ぐの足尾銅山に行ってきました。かつて栄華を誇った足尾銅山は今再び足尾銅山観光というかたちでわたらせ渓谷鉄道と共に町おこしの目玉になっています。足尾銅山は全盛期には日本の銅生産の40%以上を生産し、公害問題と労働争議で大きく揺れた日本近代化の縮図とも言えるものです。私たち先進国の人間にとって足尾銅山が抱えていたような問題、例えば危険な生産環境や公害の問題を立法と科学技術の進歩で乗り越えてきたように振る舞い、またそう信じ込んでいる方も多いと思いますが、実はそうした負の側面を発展途上国に移管しているという面も認識しなければなりません。公害を垂れ流した企業は悪、過酷で危険な労働を強いた国や企業は悪でそれに立ち向かった労働者は善というような単純な記号化では歴史は記述しきれないにもかかわらずその重層的で多元的な歴史を私たちの世代がそのまま引き受けて行かなければならないことは往々にして目の前に立ちはだかっています。

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このトロッコで、縦横無尽に全長1200kmの全長がある銅山の入口、通洞口へ入っていきます。

  1. 江戸時代、手はつりで鉱石を採取する抗夫、江戸時代の抗夫の労働は過酷なものでした。
  2. こちらは近代、足尾式ハンマードリルで採取する抗夫、近代では労働争議によって過酷で危険な労働環境は少しづつ改善されていきます。
  3. 休憩して談笑する抗夫たち、銅山閉鎖の噂が労働者たちにも流れ、生活を考えれば労働者の不安は募ります。
  4. 併設された錆銭座では江戸の銅銭製造の展示があります。

 この秋には和光大学で5年ぶりに水俣病に関する様々な研究成果の発表と展示がありますが、足尾銅山と並んでその水俣や森永ヒ素ミルク事件はその構成要素は日本の近代工業化に伴い製品の価格の民主化と経済発展を目指すなかで起きた問題でした。いまこうしたことを先進国は自ら解決することなく途上国へ移管することで凌いでいます。ボリビアの森林が伐採され椰子の木ばかりになってしまったことや、ブラジルがサトウキビだらけになってしまっていることは、かの地を洪水の危険にさらしているわけですがそうした先進国のニーズによる生産の転換は決して先進国自身は行いません。iPod を使うことのない国の人々が iPod の生産に関わるのとは抱える問題の質が違います。そんなことを考えながら足尾銅山を見学したのでした。私たちは先人たちの犠牲の上に今の豊かな暮らしを享受しています。しかしそれは先人たちのみならず発展途上国の犠牲の上にも成り立っていることに想像力を働かさなければいけないのだと思います。

■アルバム: 足尾銅山観光