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なんか臭うぞ!無資格遺体解剖事件

慈恵医大元助手を書類送検 - トカゲの尻尾切りではないのか?

 知人(といっても友人に近い知人)が死体解剖保存法違反の疑いで書類送検というニュースにショックを受けている。彼の教え子で慈恵大を出た医師を何人も知っているし中には京大の医学部大学院へ進み博士号を取得した人もいる。彼らは一様にその元助手である知人を慕っている。彼が解剖学教室で教鞭を取り彼を慕う何人もの医師を輩出したのは事実だし、僕が急性盲腸炎をやせ我慢していてどうしようもなくなったとき夜中に同大の病院へ自ら運転して連れて行って急患の受入の段取りをしてくれたのは彼だった。入院中もその後人間ドックで同病院を訪れたときも彼が若い医師にとても尊敬されていると実感することが多々あった。亡くなった僕の仏教の師は東京近郊の医大で教授をされていて仏教学と医学の学際を受け持っておられていたから僕は当時医療とモラルについて教授から随分と薫陶を受けた。そのお陰もあってその知人ともよく医療とモラルについても話をしたし、つい最近も彼の本分である薬学の教え子の女学生たちに彼をまじえて仏教の話をさせていただいたばかりである。以前から彼の解剖実習の話も聞いていたので今回の事件 - 誤解しないで戴きたいのは死体解剖保存法違反の疑いで書類送検されたということではなくあたかも彼一人に責任があるかのような報道のされ方、あるいは捜査のされ方 - は寝耳に水だったので驚きを禁じ得ない。

 新聞各社の報道はおおよそ共通で以下の時事通信の記事に要約される

慈恵医大元助手を書類送検=無資格で遺体解剖、保存法違反-警視庁(9月22日11:21)

 

 東京慈恵会医科大学(東京都港区)解剖学教室の元助手が在職中、カイロプラクティック学校の学生らを集め、無資格で遺体を使った解剖実習をしていた事件で、警視庁生活環境課などは22日、死体解剖保存法違反の疑いで、元助手(47)=目黒区=を書類送検した。容疑を認め、「学生の医学知識を向上させたかった」と話しているという。

 元助手は2003年から04年にかけ3回にわたり、同校の学生らに同様の実習を実施。計百数十人が参加しており、同課は計約40体の遺体が使われたとみている。 

時事通信社

 このほか Sankei Web が『整体学校に「課外授業」として、解剖実習の参加者を1人3万5000~6万5000円の参加料で募集していた。』と具体的な金額をあげ、また実名を上げたニュースサイトもあった。教材と使用された遺体の数が報道各社で区々であるが記事は一様に元助手が一人で勝手にやったことのように報道している。読売が彼が薬学博士であることを書いているが他はそれも書かずただ無資格を強調して敢えて彼を貶めるような報道だ。しかしおかしいとは思わないか?いくら彼が僕が感じたように助手という地位以上に医師たちに慕われていたとは云え非常勤講師を務めていた専門学校の課外授業を慈恵医大の解剖学教室で勝手に一人で行うことなど出来るのだろうか。彼の上にはH助教授とK教授がいるのだ。唯一共同通信だけが『慈恵医大内の施設や献体の使用を上司だった教授も知っており、「今思えばまずかった」などと話しているという。元助手は専門学校で人体の構造などの講義を担当。「課外授業」として1人数万円で解剖実習の参加者を募っていた。同課は集めた金が慈恵医大の関係者に渡っていた可能性もあるとみて調べている。』と報道している。

 そこで少しネットを調べてみると慈恵医大解剖学教室とカイロプラクティック専門学校との繋がりが見えてくるのである。彼が非常勤講師をしていた学校のサイトには『本学での取り組みでは、学生は卒業時に研究論文の提出に向け、問題意識の自覚、客観的考察力、科学的研究手法の習得に力を注いでいます。またこの活動を通して、慈恵会医科大学東邦大学医学部での研究活動を体験する機会も得ています。』と堂々と記述されている。さらに現在は削除されているがグーグルキャッシュで以下のようなテキストを発見した。

3月7日~13日:慈恵医大解剖実習(東京)

今回の解剖は臨床人体解剖と言う内容でした。前回と何が違うか?解剖の手順が違い、見るところが違うと言うのが主なところでしょうか?今回のご献体は乳癌の方で70代でした。大体3人1組で(4人1組の所もある)僕らのグループは、同郷の野○B.C.Sc(本科卒)、松○B.C.Sc(今年本科卒 彼は、増○D.C.の下でこの春から働くらしい)、そして僕、B.C.Sc(CSC卒)…二人とも数度の解剖を経験しているので心強い!!

1日目は皮膚と結合組織との戦いです。解剖学中最も面白くないと言われるモノです。でも去年より○○薬剤師Ph.D(M.D.では無かったようですので変更2006年7月)は優しかった。まず、あまり皮下の神経を剖出しろと言ってなかった。これは、かなり楽なはず。皮下の神経は殆ど皮膚の下、結合組織の中にある。少しでも深く剥がすともう脂肪の下である…。そして、僕らを比較的無視してくれた。これは聞こえが悪いが、僕らの好きにさせてくれたと言うこと。あまり監視され、間違うと蹴りが飛んでくる~。向こうはスペシャリスト!蹴るときもツボを突いてくる(笑)しかし、真皮と皮下組織との間を剥がすのは容易ではなく…気が付けば筋膜から上を剥いでしまう。剥ぎ方は、最初、皮切線をいれそこよりメスとピンセットで少し剥がし、そこから、手で引っ張る。下手にメスを使うと皮膚が細切れになり上手く行かない。野○先生の早いこと早いこと~。

  ~ 中略 ~

最終日、僕と松○先生とで仙腸関節離開のため、大腿骨頭を外し、周りの筋を外していく。昼より仙腸関節を外しにかかる。外してる途中、渡○M.D.がやってきた。渡○先生「何してる?」松○先生「え?せ、せんちょう関節を…見ようと思って…」「関節包があるというので…」渡○先生「関節包??そんなの関節でもないのに、あるわけね~じゃね~か!!」松○先生「え、でも臨床解剖学の本に…の、のってて…」渡○先生「どんな本だ!」松○先生「慈恵の…」渡○先生「じ、慈恵の??…」松○先生「慈恵の早川先生が監修している奴です。」渡○先生「◎☆●▲◆◇※*」

楽しくもあり、とても疲れた1週間だった。1週間、三○先生、野○先生、間○先生、松○先生、は○先生、とてもお世話になりました。せっかく1週間もいたのに、新橋からいちどもであるかなかった。今から思えば、それが唯一の心残り…。でもしんどくって…歳かな?

 このテキストを書いた人は知人の元助手がアルバイトをしていた専門学校の母胎であるオーストラリアの大学を卒業された方だ。この方はこの部分を既に削除されているので迷惑を掛ける意図はないので URI は表記しない。このテキストを読めばこのカイロプラクティック専門学校と慈恵医大解剖学教室の親密ぶりと関わっていたのが知人の元助手だけではないことが見えてくるではないか。更に別のカイロプラクティック学校(両校とも住所は港区で慈恵医大とは直ぐ近くである)の卒業生の方の書かれたその学校の同期生の結婚式の記事があり元助手の上司であるH助教授が出席している。なるほどこのH助教授による翻訳監修『脊柱 脊髄 自律神経』の紹介文には『基礎医学書としてはもちろん、整形外科、カイロプラクティックオステオパシーなど広範囲の医学基本テキストとして最適』と謳われH助教授のカイロプラクティックへの関心の高さが窺えるのである。そしてH助教授はこの学校の講師を務められているのだ。これほどカイロプラクティックに熱心であり、本業でなく講師を務める学校の教え子の結婚式に出席されるような大学教員が自分の研究室で部下が違法行為をはたらいているのを見過ごすことなどあまりに不自然ではないか?それも隠れた違法行為ではない。実習室を使ってどうどうと1週間の期間をかけて行われた解剖実習ですぞ!

 もう一つ恐らくこの事件報道で削除されてしまったのだと思われるテキストがあった。これも当事者への迷惑を意図するわけではないので URI の表記はしないが愛知県豊橋市にあるカイロプラクティック治療院のサイトである。院長Y氏の経歴には知人の元助手が非常勤講師を務めた学校を卒業したことがうたわれ直ぐ下には前述のようにこの学校の『本学の取り組みでは』で触れられているように『東邦大学医学部第一生理学教室 セロトニン神経系に関する研究 修了』『東京慈恵医科大学解剖学講座第一人体解剖学実習コース修了』と堂々と明記されている。この卒業生による『東京慈恵医科大学解剖学講座第一人体解剖学実習コース修了』という書き方は元助手が個人的に行った課外特別授業などではなく学校が組織的に行った正式なカリキュラムであること示唆しているではないか。

 彼はペンシルバニア大学へ脳医学専攻で学費留学している。その成果の翻訳書もあるのだ。その彼の学位を教授や助教授が知らぬはずなどあるわけがない。今回の件は単に個人の小遣い稼ぎといった単純な行為ではなく組織ぐるみの行動ではなかったのか?知人である元助手が慈恵を退職したのは大学と喧嘩したからだと本人から聞いた。それに対して喧嘩したくらいで大学とのパイプを切ってしまうのは学者としては不利だぞと僕は忠告した。しかし彼は大学とのパイプは切れていないから大丈夫だと答えている。たしか5月の終わり頃のことだったと思う。現に彼は僕ら文学系の教員には想像も出来ない高給優遇で薬剤師国家試験の為の予備校に就職している。勿論彼は薬学博士だからこれは違法行為ではない。しかしそうした予備校への破格の高給での就職は喧嘩して大学を退職した個人が一人で出来るものだろうか?なんらかの力が介在していないか?彼の大学とのパイプは切れていないから大丈夫という僕への答えが力の介在を意味するものだったとしたら、今回彼が一人で責任を負おうとしている話のつじつまがピッタリと合ってくるのである。どうか警察や検察当局には公平で真実を明かす為の捜査を継続していただきたいと思う。