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アドビフォトショップの一括複数ファイル自動レベル補正パッチ

Computing & Mobile, OSX

レタッチは完成に限りなく近い写真データに対してのみ有効であり効果を上げる

 あるプロのカメラマンがこんなことを教えてくれた。「デジタル写真はラチチュードが狭いからTTL測光は気持ち銀塩で撮るときより明るめに、すなわち一点測光ではなしに中央重点測光をさせて平均値をすこし上げきみにしておいて、露出補正はコンマ3から7程度マイナス側に補正しておく。バチバチ撮りまくってパソコンにデータ移動したらとりあえずフォトショップ複数ファイルにパッチを当てるで自動レベル補正しとけば間違いがないよ、撮影時に圧縮したラチチュードをそれで広げてあげられるからね。あとはいらない写真をバンバン捨てちゃえば良い。」

  この話を真に受けた僕はとりあえず仰せの通りにやってみる。ところがどっこいフォルダーの中には勿論仰せの通り驚くべき程綺麗に出来上がった写真があったにはあった。今まで普通に撮っているより遥かに黒つぶれも白飛びも少なくなっている。だけど、まてよ。全然色合いが変になってしまっている写真が沢山ある。セピアやら紫色やらブルーがかったものやら。カメラマン氏が言うのは RAW 画像ではなく高品位 JPG での話なのだがこの話にはとても大切な前提があることを思い知った。少なくともベースになる写真は Adobe の開発者が想定しているように正しい色温度ヒストグラム分布がされたデータで有る必要があるのだ。つまり写真としては一丁前なんだがデジタルデータであるが故に残念ながら同じセンスと技術レベルで撮られた銀塩に及ばないというデータで有る必要があるのだ。そう言うときに限って始めてフォトショップの自動レベル補正が写真を豊かにするのである。少なくとも Adobe が考えているレタッチのベクトルはそういう方向を向いている。だいたい考えてもみよう。不可逆圧縮の JPG はレタッチを繰り返せばどんどん画質は悪くなるのである。そんなことをプロのカメラマン氏が見過ごすわけはない。彼はあくまでも1発仕上げを前提にフォトショップの、しかも Adobe 技術陣が提示したアルゴリズムを自らのものとして使い切ってしまおうと言っているのに他ならなかったのだ。

 カメラマン氏の簡潔な言いぶりを真に受ける僕もアホなのだ。あらためて咀嚼して考えてみればレタッチのベクトルの方向性とは過去に多くの写真家達が積み上げてきたものを目標にデジタル写真が銀塩に及ばない部分を浮き彫りにしてそこをコンピュータの演算能力を借りて差異を詰めていくアルゴリズムAdobe の技術陣が提示したに過ぎないものだ。ここから分かることはレタッチとは完成に限りなく近い写真データに対してのみ有効であり効果を上げるということだ。実際にレタッチできる幅など微々たるものなのである。シロウトの出鱈目な写真を Adobeアルゴリズムは更にズタズタにして突きつけてくれるのである。写真を撮るということ、それは先人の築いたルールとノウハウをなぞりながら一つ一つ自分のものにしてく努力の過程に他ならない。少なくとも露出や色温度、媒体に対する理解があって始めてオリジナリティーなるものは生まれる。コンピュータもデジタルカメラも本当のところ何一つ写真をイージーにしたわけではない。ただ訓練するチャンスを容易にしたに過ぎないのだ。よーし、ファイトが湧いてきたぞ。