KumarinX Kaneko Ryogen Jean Michel Kaneko Photography MacOSX

’06 Cloudy Bay Sauvignon Blanc

フランスワインに匹敵する第三世界ワイン

 25 日の春の土用の丑の日の夜に都合が付かないので一足早いが母と鰻を食べようと言うことになった。子供の頃に祖母が暦をいつもチェックして土用の丑の日になると門前の宮川で鰻を取った。また誰それに中元を贈るとか言うときは日本橋三越高島屋へ出向きお昼は土用の丑の日が近いことを口実に鰻を食べた。お爺ちゃまの健康のためだとか孫がみんな元気になるようにとか言っていたが、要は鰻は祖母の大好物で、大正・昭和の近代化と戦争の激動の時代を世間一般のご婦人方の手本たる自負心のもと、倹約を美徳とする寺婦人として生き抜いた祖母の唯一の誰人に憚ることのない贅沢が鰻を食べることだったと言っても過言ではなかろう。その祖母がNHK朝の連続テレビ小説で放映された『うず潮』を見て林芙美子は鰻の食べ過ぎだなどと嫉妬とも言える悪態をついていたのだから可笑しいよねなどと老いた母親と話しながら「僕の贅沢は鰻を食べながら美味い白ワインを飲むことだからね」と鰻重は近くの高島屋で調達しついでにテナントで入る明治屋から Cloudy Bay Sauvignon Blanc の 2006 年を買って帰る。母も最近は老いたせいか出不精になった。だからたまには美味しいものでも買って帰って家で食べるかと妻の同意を得るものの内実は祖母と同じで親孝行に託けたた単なる口実ということなのかもしれない。

f:id:kumarin:20070422205044j:image:w400

 Cloudy Bay Sauvignon Blanc はフランスワインに匹敵する唯一の第三世界ワインと言えるかも知れない。 Sauvignon Blanc 種で作る白ワインのスタンダードはいまやこの Cloudy Bay だと言う人もいるくらいだ。実際濃縮された果実味と巨大なストラクチュール、酸、自然な苦さ、そして蕩けるように纏わりつくネクターの如き舌触りなど適度に冷やして飲んでいると逆にこれに匹敵する Sauvignon Blanc は Dagueneau の Silex くらいしか無いのではないかと思ってしまう。とまぁいささか大げさすぎるがフランスよりカリフォルニアの方が美味いなどと言っている御仁は是非このワインを飲んでみて貰いたい。 Sauvignon Blanc に於いてこの次のステップアップはもはや Didier Dagueneau しかオプションがないことを知るチャンスだと思う。このワインの優れた点はカリフォルニアを含めた第三世界のワインにしてはグラスに注いでからの寿命がかなり長いことだ。温度が上がってきてもヘタレることなく高貴な香りを発しつづけるし、しっかりした酸がピタコラムの補強ブレース(*1)のようにワインの構造力を保ち続ける。大きなグラスにたっぷりと注いで暖まってきてもやや単調になるきらいはあるが美味い。

f:id:kumarin:20070422212101j:image:w200f:id:kumarin:20070422212654j:image:w200

 ついにこのワインもスクリューキャップになった。スクリューキャップならばニュージーランドから船旅で日本にやってきてもブショネの心配はない。そして飲み残しても安心して一日くらいは冷蔵庫で保管が出来る、と思ったらスクリューキャップでもブショネの心配が完全に無くなったわけではないなどと書いたワイン誌があった。あまりにバカなので雑誌名は伏せる。ブションとはワインのコルク栓のこと。栓はタンポン。ブショネとはブションの臭いが付いてしまったという意味だから敢えてフランス人流に言えばタンポンがブションでなければありえない。スクリューキャップはまずタンポンではないしコルクでもない。よってそのワイン誌が言わんとするところはコルク臭に似た悪臭を持つワインのことを指すことになるからそれはブショネとは言わない。ワインがタンポンが原因でないコルク臭に似た悪臭を持つ可能性は瓶の消毒が悪いかあるいは醸造所が不潔かということになろう。それならばそれはスクリューキャップかコルクのタンポンで栓をしているかとは関係のない話なのでスクリューキャップを採用したワインの記事で論ずるのは場違いな話と言うことになる。そもそもそんなワインは良いコルクでタンポンをしても悪臭がするワインなのだ。この記事を書いたジャーナリストのあまりにも論理性がないことに悲しくなった。とは真っ赤なウソでこのワイン誌のバカさ加減を肴にCloudy Bay を飲んだらワインの蘊蓄は難しいという母親が論理というのは実に理解がしやすいと楽しそうに笑ったのでこのバカなワイン誌も老人の福祉とボケ防止には訳に立ったと言うことになる。[rakuten:fitch:541977:detail]

[rakuten:fitch:542015:detail]

*1:ピタコラム(Plate Included concrete Tightly Attached columun )とは、耐震補強工法の1つで建物を使用しながら補強工事が行える工法。施工方法は、補強する既存柱にあと施工アンカーを一定間隔で打設後、既存柱から10cmの位置に鋼板を打設されたアンカーに取り付る。 さらに、この鋼板の周囲に楕円形の剪断補強筋を一定間隔で配し、これらを包みこむように約20cm厚のコンクリートを打設して補強とする。建物内部に立ち入ることなく耐震補強工事を行う、というのがピタコラムの基本概念。以上矢作建設グループ ピタコラムのサイトから抜粋