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死を迎へる友へ

部下や家族のために注意深く最善を尽くすことを教えてくれた人f:id:kumarin:20070524200858j:image:right:h160

 友人がまた一人病に倒れた。7月の中旬から肩のリンパが腫れて調子悪いと行っていたのが8月のはじめに強烈な頭痛で病院に運び込まれ精密検査の結果癌が脳に転移したのだという。今日現在既に意識は無く昏睡状態であるその友を病院に訪ねた。思えば彼の人生は駆け抜けるような人生だった。ひとり小さな会社を背負い常に先頭に立ち続けながら戦った、まさしく中小企業の戦士と言ってもよい。休息も取らずただ只管に働き続けた。すでに財産も充分にありご子息も独り立ちしてまた別の会社を経営されている。いったい何が彼をそこまで休むことなく働き続けさせたのであろう。僕には彼の穏やかな寝顔が僕に向かってもう疲れたよと言っているように思えてならなかった。

 僕は彼に向かって頑張って病と闘え!などと言うつもりはない。何故ならかれはもう既に粉骨砕身して十二分に頑張ってきたのである。多くの若者を育て廻りに愛された彼はやがて死を迎えても彼と関わった人々が生き続ける限りそれぞれの心の中に生き続けるだろう。彼に育てられともに困難を乗り越えてきた人々は彼がいなくなってしまっても、困難に立ち向かうとき彼ならどう心を落ち着けて気をつけたかを思い起こすであろう。そう彼は常に部下や家族のために注意深く最善を尽くしたのだ。恐らく動物からことばを以て立上り知性を身につけた人間が「死後」を考えるとは自分が死んでしまった後にまったく彼のようにまわりの人々がどう生きるかを考え抜いて最善を尽くすことなのだと思う。

 欲を言えば出来ることならもう一度ゆっくり酒を酌み交わして様々なことを語り明かしてみたい。職業も年齢も違う彼とはそういう友人だった。そして色々なことを彼から学んだ。最後には飲んだのは昨年の暮れ。考えてみればそう何回も飲んだことはないかも知れない。今僕に出来ることは彼が自然に再起することをただ祈るのみである。