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手を出してしまった禁断の果実 M

それは突然やってきた

 くまりんさんは写真がお好きだからともう10年以上も前になくなった方の娘さんご夫婦から連絡があり会ってみると手渡されたのは古いライカのレンズだった。それは1969年当時、新進気鋭のカナダライツ社が設計した SUMMICRON M35mm F2 の第二世代6枚玉で袱紗からとりだされたコイツをみて僕は面食らった。そのある方が亡くなった当時遺されたライカシステムはその方のお弟子さんたちに遺品として配られたという。ところがコイツだけがスペインから引き揚げられた梱の奥に遺され古い家を処分して引っ越しのための家財整理を改めてするまでだれも気づかずに残ったいたというのだ。というわけで有り難く頂戴した次第で故人のことを思えばこのレンズで写真を撮るためのカメラ本体を調達しないわけにはいかない。その足で新橋の大庭商会に行きオヤジさんに事情を説明して奨めてもらって手に取ったのが僕にとっては3台目のライカ、とうとう本マモンの Leica M6 である。その工業製品として究極に完成されたデザインとひんやりとした超精密機械の手触り、作り込まれたことを彷彿せずにはおれない重量感にすっかりまいってしまったのだ。

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  • 写真はすべて n.dinning にて。M6 + Summarit L50mm F1.5。撮影 Leica D-LUX2 DC Vario-Elmarit 28-105mm。暗い中で絞り開放手持ちWBオートだが結構雰囲気が出てしまう。デジタルになってもライカにはライカの雰囲気が付きまとうのは流石だと思う。というのはインチキで実はライカのデジカメだからこそ映像もライカらしくしたいという撮り手の意志が働いている。写真とはそう言うものだと僕は考えている。レンズの味なる言い方も実はその範疇であると思う。

 AEでばかり写真を撮っている僕にはやっぱりとりあえずは露出計内蔵のM6 でしょう。M6 は逆光時のファインダーが評判が悪いが回避の仕方を解説しているサイトを見つけたりして一安心。とにかく1年間使い倒してレンジファインダーを手中に収めてみようと思う。折角だったのでいわゆる標準50mmも一本欲しいけどそんなにお金は使えないからという僕の出鱈目なリクエストにオヤジさんが薦めてくれたのが Summarit L50mm F1.5。スクリュー式の L マウントだがアダプターで簡単にバヨネット M マウントになる。ライカのL→MアダプターはペンタックスM42→Kマウントアダプターと違ってスクリューマウントレンズをバヨネットマウントレンズにしてしまうものでとても扱いやすい。ペンタと違って新しいカメラが古いスクリューマウントになるわけではないのだ。コーティングがソフトコーティングのこのレンズは比較的手頃な価格で手に入れることが出来るが手入れには注意を払う必要があるとのこと。そこでとりあえず保護フィルターはとりつけた。開放F値1.5は夜の室内でも威力を発揮できるだろうから楽しみである。

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  • M6 + SUMMICRON M35mm F2.0。左の2枚は Leica D-LUX2 DC Vario-Elmarit 28-105mm のマクロモード 28mm(35mm フィルム換算) で撮影したがディストーションが凄すぎる(笑)普通に撮ればこのカメラ、最近のデジカメらしい写りをする。
  • そこで少し暖色が強調されるように蛍光灯下にもかかわらずWBを太陽光にして、離れて42mm(35mm フィルム換算) で撮影。するとまた少しライカらしい写りになる(笑)

 M6 はライツが傾きだしたころのカメラで最高峰と言われる初期の M4 の質感に大分劣るというマニアもいる。しかし手にした精密機械としての手触りは最近の国産デジタルにはない感触だ。一部の人たちが写真ではなくカメラを愛でてしまうのも頷ける気はする。35mm をつけてファインダーを覗くとその視野は35mmのフレームを上回るしシャッターを押した瞬間の暗黒の世界がないことといかにも精密機械らしい静かなシャッター音がえらく気持ちよい。僕もフィルムを入れずにライカを愛でる人の存在を知っている。しかしカメラはやっぱり写真を撮らなければカメラではない。禁断の果実に手を出してしまったからこそその気持ちを新たにしたい。M3、M4 に行くのかはてまた M8 を買うか1年間じっくり写真を撮りながら考えたい。