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ReadMe!休止に思う

Computing & Mobile, OSX Blog

ネット村という今よりずっと謙虚なコミュニケーションの終焉

Colorful front of the shop

Colorful front of the shop :
   DLUX-2 DC Vario-Elmarit 28-105mm f/6.3 1/125sec. 28mm WB AUTO ISO400

  • 1980年10月、僕はロサンゼルスのマーケットの一角に立っていた。店先に飾られたジェリービーンズのカラフルさに驚きながらも何か軽薄な底の浅さを感じたものだ。ReadMe! 全盛の頃、ネットはちっともカラフルではなかった、が今のネットは ReadMe! の高野さんが言うように「画面の4分の3が広告や無意味な情報で埋め尽くされ、人々を機械の前に縛り付けて離さず」人の時間を奪いながら、むしろ人を傷つける凶器にすらなっている。カラフルさに惹かれて一度入り込んでしまうと中毒になってしまう危うさ。美しい色合いにはそんな誘惑が潜んでいる。

 ReadMe! が休止するそうだ。今のようにブログが一般化し RSS なんてものが無い時代、ReadMe はテキストサイトの更新ナビゲーターの役割を果たした。ReadMe!開設者であるたかのさんが書かれている通り僕の通信環境も28k/bps のモデムで当時の ISP はたしかべっこあめインターネットだった。月にいくら払っていたかすっかり忘れてしまったけど、たしかまだ時間による課金だったと思う。NTTにも通信費は払っていたから二重の従量課金で当時テキストサイトをやっている連中はみな余計な画像など乗せずに HTML で記述できる通信速度の足かせにならない軽い軽いテキストだけが勝負だった。ISDN によるつなぎ放題の時代はその後の話だ。

僕の機材も100MGz のスピードでメモリは最大で128MB、ハードディスクは800MBたらず、ネットには必要な情報すら充分無かった牧歌的時代だった。その後の急激な変化は目を覆うばかりだ。東西冷戦後ネットは研究者の情報共有のステージへと開放されたがその後血みどろの赤い海・ビジネスの市場へと投げ出された。ネットの現況を嘆いてたかのさんは次のように言う。

この12年、技術の進歩は実に驚くべきものです。

にもかかわらず、こんにちの生活は、必ずしも豊かになったとは言いがたいものがあります。

世を占めるウェブサイトの多くが時間泥棒へと姿を変え、ときには人々を苦しめるための凶器に成り下がっています。

Alexaの調査によれば、全世界のウェブサイトの実に98%がReadMe!より遅いそうです。

画面の4分の3が広告や無意味な情報で埋め尽くされ、人々を機械の前に縛り付けて離さず、未知なるものと出会うための時間を奪い、機械無しで生きてゆくための能力を奪ってゆきます。

この業界でこの仕事に携わる一人として、恥ずかしく、また悔しく思います。休止にあたり運営者より御挨拶 (2008.2.29)より

 そう言えば NGP と称する今でも付き合いのある Mac ユーザーを中心とする異業種交流の仲間達も出会ったのはこの頃のことだ。NGP はインターネットすら使わないパソコン通信でフェニックスサーバーに接続するものだった。当時200名を超えたメンバーは、それでもパソコンがまだ一般的に普及する以前の時代だったからこそ結集し得たのではないかと思っている。今現在アメリカでは企業ユースが Windows で個人ユースは Mac という棲み分けが出来つつあるという。そう言う意味では僕らは先見の明があったのかも知れない。

 ブログサービスや RSS がネットを大きく変えた。ReadMe!の休止は HTML でテキストを書くという時代の終わりを意味する。それは今よりずっと謙虚なテキストサイトの集合したネットの村意識で結ばれたコミュニケーションだったように思う。いくつもの優れた創造ですら時代の流れに飲み込まれ消えていく。かつて HTML 直書きモードの頃の僕のサイトも ReadMe! にはずいぶんお世話になった。ここでケジメとしてありがとう!とご苦労様!を言葉に表してたかのさんに送っておきたい。人の心はうつろい変化をやめない。そしていつも時代は変わる。その後に裏切り者!と言われないように。

♪BGM while writing

時代は変る

時代は変る