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天ぷら 美かさ

技と匠と心意気に感動

華

華 : M6 + SUMMARIT L 50mm F1.5 SS1/15sec. f/1.5 Kodak BW400CN

  • 写真はイメージでお店とは関係有りません

 知人の T 君と奥さん、それにうちのカミさんと4人で家近くの天ぷら屋さん「美かさ」に行ってきた。この店は看板も出さずにそっと営業しているが知る人ぞ知る名店だと言う。へぇ、そんな店が地元にあるの?なんて思っていたが行った人の話を聞くにつれ一度言ってみたいと思っていたところへ T 君から「是非、一度行きましょう」と声がかかって実現した。足を踏み入れると、ほうここが地元か?というような雰囲気。祇園「丸山」のカウンター席を天ぷら向けにしつらえたとでも言ったら良いのだろうか。静かで落ち着いた雰囲気で壁の漆喰もビニールクロスや 新建材に塗装を施したものではなく紛う方無き漆喰であった。その温度とかすかに湿気を保持する優しさにまず脱帽。

 突き出しのお作りのあとは文字通り天ぷら。ハゼもアナゴも海老もみんな生きた素材で主人が捌くところから始まる。先日の地元のうなぎ「菊水」もそうだったがまず余分な油っぽさがまったくない。そしてサクッと軽く揚がった衣も見事。洗練された匠に舌鼓を打つ。食卓には抹茶塩と天つゆが用意され、その都度どちらで食べたら良いかを主人が告げてくる。俎の前の主人のパフォーマンスと変化に富んだ味のプロデュース、あまりにシンプルで当たり前なのに、その美味しさに驚きを隠せない江戸前の伝統と新しさに客は飽きることがない。こりゃ、その辺の天ぷら屋じゃ食べられないぞ!と思う。ワインはアントル・ドゥ・メールでほのかな汐の香りと香ばしさが魚介の天ぷらとピッタリだった。

 〆に戴いたのは抹茶の天茶漬けで、抹茶のコクときつめの塩分が〆に相応しい味わいを醸し出す。茶漬けと言えば昆布だしと淡口醤油と思いこんでいた僕には新鮮な驚きと発見だった。料理は 8800 円のコースのみ、そして時刻は 19:30 スタートと決められているが主人一人の調理とこのクオリティーにこの値段なら、むしろそんな制約も大歓迎である。遅刻した客に門を閉ざしたラ・ピラミッドを司り「良い料理とは客が待つものだ。」と言い放ったフェルナン・ポワンの傲慢な言葉に、傲慢さを感じさせない店とはこういう店を言うのだとポワンの言葉を心地良く思い起こすことが出来る数少ない店だと思う。技と匠と心意気に乾杯!

♪BGM while writing

ケセラ

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