KumarinX Kaneko Ryogen Jean Michel Kaneko Photography MacOSX
読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

吉行淳之介「原色の街」を訪ねて II

Photographe 昭和探訪

ベスト10入りまでもう一歩だった

原色の街・驟雨 I
原色の街・驟雨 I
LX + smc PENTAX-M 1:2.0 85mm FELANIA Solaris 200
 一昨日の『吉行淳之介「原色の街」を訪ねて』は日本ブログ村のスナップ写真ランキングで最高11位まで上がった。これはもう皆さんのクリックのお蔭です、ありがとうございました。実際は吉行の引用だけでなく Kodak EKTAR 100 の3段減感撮影についても書こうと思ったのですが眠くてあれが精一杯でした。で、今日の巻頭いきなりのモノクロ。吉行の原色の街には主人公が友人と娼婦を隅田川でモーターボートに乗せて写真を撮るシーンが出てきます。

原色の街・驟雨 II
原色の街・驟雨 II
LX + smc PENTAX-M 1:1.7 50mm FELANIA Solaris 200
 一枚目のモノクロは当にそんなイメージ。実際は原色の街を出てからフィルムを Solaris 200 に変えてから撮ったんですが、1本目の Ektar 100 で狙った減感によるノスタルジックな粒子感とコントラストを出すつもりで Solaris 200 で同じようにやってみたのですが青い川面に緑のノイズがどっと出て見られたもんじゃなくなってモノクロ化したって寸法です。この2枚目は普通に多分絞りF8位で標準と思われる露出で撮ってます。こうすれば Solaris も普通に写真が撮れるw

原色の街・驟雨 III
原色の街・驟雨 I
LX + smc PENTAX 1:2.8 24mm FELANIA Solaris 200
 さてこの3枚目からが Solaris 真骨頂の写真です。ややハイキーで撮ることでまるでM型ライカデジタル版のようなマゼンダ被りが美しく顕れる。僕はこの女子カメラ調のハイキーはマゼンダが被って完璧だと思っているので北十間川廻りの昭和の街並みをこんな感じで撮るために Solaris を1本だけ使いました。やはりこのフィルムで減感してコントラストをなんていうのは愚の骨頂ですね。

原色の街・驟雨 IV
原色の街・驟雨 IV
LX + smc PENTAX 1:2.8 24mm FELANIA Solaris 200
 北十間川に添って歩いていくと oh!ありました。ここにも驟雨の道子や原色の街の春子が出てきそうな街並みが…。原色の街を撮るのは減感というシャッター速度を3段速くする撮り方で中間調からシャドウの部分をより暗くなるように撮り、現像は普通にやって貰って(勿論、僕は Ektar の現像が特殊な技術だとは思っていないのでコダックに高い金を払うのもバカバカしく普通にフジの現像マシンでやって貰いますw)プリント段階で覆い焼きと焼き込みをフルに使って粒子感とこってり感のある写真に仕上げて見ました。それはそれで原色の街のもう一人の主人公・あけみの生き様にイメージが合うように思えたからです。

原色の街・驟雨 V
原色の街・驟雨 V
LX + smc PENTAX 1:2.8 24mm FELANIA Solaris 200
 でも北十間川添いの街は借景にスカイツリーを取り込み昭和から平成へのタイムトンネルを抜けていくような街。ならば明るく原色の街の蘭子の様にあっけらかんとヌケのよい色彩で行きたいなと思って、やはりここはソラリスかと。女子カメラの明るさってのも蘭子や春子のような娼婦的なイメージがある。つまり吉行に言わせればこうだ。あけみはどこかで開放されたいと願って自らを不幸に陥れていったわけだが…

原色の街・驟雨 VI
原色の街・驟雨 VI
LX + smc PENTAX-M 1:1.7 50mm FELANIA Solaris 200
『この街の女たちの意識が、この街の範囲を、つまり躯を売って食べてゆくという生活の様式を離れることがないならば、それは開放とか束縛とかいう言葉とはあまり関係がなくなってくる。そして女たちの意識を再構成しようと努力した、理想に燃える男たちについて、幾つもの物語が書かれているが、残念ながら結果はいつも思わしくなく、男たちの敗北に終わっている。
 たとえば、春子という女がそれに該当している。この街という枠のなかにやすやすと身を置いて、自分の場所を疑うという気持ちは全く起こらない。』吉行淳之介「原色の街」より

原色の街・驟雨 VII
原色の街・驟雨 VII
LX + smc PENTAX-M 1:1.7 50mm FELANIA Solaris 200
 もうこのスタンスはぬけぬけと街に同化してなにも疑わずにハイキーでマゼンダ被りの写真をかわいい!と疑わない女子カメラそのものじゃないか。写真とは…云々…とお節介にも講釈を垂れる男性カメラマンもやはり結果は思わしくなく計算された構図も厳密な色再現も無惨にも敗北に終わるのである。

原色の街・驟雨 VIII
原色の街・驟雨 VIII
LX + smc PENTAX-M 1:1.7 50mm FELANIA Solaris 200
 「今度お会いするまで操を守っておくわね」とささやくと、微笑みを残して急ぎ足に去っていった道子に振り回され、やがては彼女が他の客を取ることに嫉妬をおぼえるようになると、それまでは道子が娼婦であることに精神の衛生を保たせていた驟雨の主人公・山村英夫。ひとたび彼女を愛してしまったいまは、すべてが裏返しになって、彼の心を苦しめにくる。マゼンダ被りのハイキーな写真はそこに疑問を持たずに楽しんでいる限り僕にとって女子カメラにお節介やヤキモチを焼くことから無縁になって精神の衛生を保つ秘訣なのである、ジャンジャン!

原色の街・驟雨 番外編

原色の街・驟雨 番外編
原色の街・驟雨 番外編
LX + smc PENTAX-M 1:1.7 50mm FELANIA Solaris 200
 うわ~っ!こんなん売ってましたぁ。懐かしい!

PS:今日(9/14)見てみたらレンズが1枚目からのコピペで全然違っているのに気づいた。やっぱり夜は10時過ぎると眠くて駄目だorz Flickr の記載が正しいので直しておきました。

原色の街・驟雨 (新潮文庫)

原色の街・驟雨 (新潮文庫)

にほんブログ村 写真ブログへ にほんブログ村 写真ブログ スナップ写真へ