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A fulfilled life - Jean Michel Kaneko Photograhie

知足是福。音楽家・演奏会の写真がメインのカメラマン、公開OKの作品は掲載中。IT企業役員、趣味で料理の YouTuber、趣味は仕事と同様大切でロードバイクと料理とワインフリーク。

古民家喫茶こぐま と 酒井崇ボールペン画展

原色の街の片隅に佇むレトロなカフェとボールペン画の奇才

古民家喫茶こぐま I
古民家喫茶こぐま I
Leica Minilux with SUMMARIT 40mm F2.4 Kodak 400TX
 吉行がここに取材に通った頃はまだ元の薬局と化粧品屋であったであろう昭和式の木造商店を改築したカフェがあった。その名も『古民家喫茶こぐま』別名『アート&カフェ こぐま』である。原色の街でも一服をアラーキーも立ち寄る『エデン』にするかと僕は思っていたのだがアーティスティックな畏友 SekineR2000 さんの勧めに従って素直にこのこぐまに入ることにした。

古民家喫茶こぐま II
古民家喫茶こぐま II
Leica Minilux with SUMMARIT 40mm F2.4 Kodak 400TX
 この界隈が奇跡的に東京大空襲にも焼き残ったことについて高校生当時の僕は米軍が占領後の上陸を視野に入れて娼婦街を確保するためだったのだろうと考えたこともあった。が実際この街が米兵で賑わったという話を聞いたことがないので僕の反米妄想だったのかと反省することもあったが、なんのことはない娼婦を殺戮せずに活かしておけば彼女たちは稼げるところに集まってくるからそりゃここを焼かずに生かしておけば仕事の場はヨコスカでもよかったわけである。そんな喫茶こぐまの前身に娼婦たちもペニシリンやら避妊具やら、あるいは橙色の口紅などを買いに来たであろうと思うと心の襞の片隅に焼き付けられた昭和の匂いが鮮明に甦ってくる。

古民家喫茶こぐま III
古民家喫茶こぐま II
Leica Minilux with SUMMARIT 40mm F2.4 Kodak 400TX
 大きなぼんぼん時計が時を告げうしろの格子のむこうがわでロイド眼鏡の猫背の教員風の薬剤師がいまにもジロリと上目遣いに現れそうだが、実際出てきたのは演出家・劇作家として演劇活動もなさる僕から見れば好青年のマスターの 山中 さんであった。今回はこのこぐまの模様を普段とはちょっと違う緻密めなモノクロプリントでお届けしよう。

古民家喫茶こぐま IV
古民家喫茶こぐま IV
Leica Minilux with SUMMARIT 40mm F2.4 Kodak 400TX
 さて、この犬の置物のの後ろの棚にポストカードのようなものが展示されているのがご覧になれるだろうか。この展示作品こそ今日のもう一つのテーマ、ボールペン画の奇才 酒井崇 さんの作品とその個展である。キュビズムに通ずる彼の描く女性のポートレートは非常に繊細なボールペンの無数の線で描かれている。ちょうど人間の顔の厚みの分だけの被写界深度をピントの山から前後へと極微細なボケへの面連続を実現する標準レンズが最適な絞りを与えられたように酒井さんの制作のプロセスは驚くべき程繊細繊細でいて力強い仕事なのだ。そしてその女性が誰かに似ているナァと思いめぐらしたら、そうだオブヘアのアリトモだったw

酒井崇ボールペン画展2011 in 古民家喫茶 こぐま
酒井崇ボールペン画展2011 in 古民家喫茶 こぐま
酒井さんから頂戴した個展のカード
 酒井さんは僕と同じく東京芸大落選倶楽部のメンバーである。そういところで妙に親近感が沸いたがw 実際はそんなことではなくキュビズムに通ずる構成主義的な作風をお持ちなことである。対象への注意力と観察は時に遠近法の見え方を超えて多彩な面と光の構成へ脳内で生成される画像をデフォルメすることがある。僕自身も Cubism Award という写真家のグループに招待されていて Cubism Award: Great Artistic Photographer - INVITED Post Award と言う場で写真を発表することがあるがそこで招待されているのは構成主義的な構図と光を持つキュビズム写真なのである。実際はあんまりそういう写真はとらないんだけどね。ただ今年に入って Cubism Award からちょこちょこ評価されるんで真面目に取り組んでみようかと思うようになったのだ。

古民家喫茶 こぐま
古民家喫茶 こぐま 酒井崇ボールペン画
酒井さんによるこぐまの店内画
  酒井さんによるこぐまの店内。作家の視力は多彩な構成的な面を見据える。面白いことにマチスピカソもこのような面構成の作品の土台にモノクロームの写真を使っており(まぁ当然当時はモノクロしかなかったわけだけれども)写真ではみえないけれども自らは見て連続した面として構成し、モノクロームから見える色彩を着色している。勿論彼らがそうしたキュビズム的な写真を遺したわけではないが、彼らが絵画に昇華させていった手法と対象物への関心を写真に逆にフィードバックしていくことをキュビズム的な写真、或いは構成主義的な写真と呼んでも良いのではなかろうかと思っている。

古民家喫茶こぐま V
古民家喫茶こぐま V
Leica Minilux with SUMMARIT 40mm F2.4 Kodak 400TX
 僕が真面目に取り組んでみようかというのは、そうした視点で写真を撮ってみようかということなのだ。だからそんなようなお話しが出来た酒井さんとの出会とその場での対話はとても楽しい時間だった。本来ならこの日は同行したカメラマンたちをもてなすのが僕の役目であるのにそんなことはスグにどっかに吹っ飛んでしまって自分が楽しんでしまうのよ、僕という人間は、ハハハハ。だから絶対に社長や営業部長にはなれないね。

古民家喫茶こぐま VI
古民家喫茶こぐま VI
Leica Minilux with SUMMARIT 40mm F2.4 Kodak 400TX
 そしてこの日はもう一つ、事件があった。とても気にいっていた SUMMARIT 40mm F2.4 というレンズを持つ Leica の Minilux がこの日の夜、浅草で Error2 が出てあらゆる操作を受け付けなくなったのだ(>_<) これはもう駄目なんですよ。もう一台手元には C2 というコンパクトライカがあるけれどレンズは雲泥の差。この時代のフィルムレンズというのは言わば技術的には頂点なわけですよ。これ以降光学技術はフィルムではなくデジタル撮像素子に最適化されていく。箱はどうでもよいのだけどレンズは置物にしておくのはあまりにもったいないのでどうしようかと思っていたら宮崎光学さんというところでMマウントに改造してくれるサービスがあるのを知った。ちょっと検討してみようと思う。

PS:ありがたいことに最後の6枚目の写真がCubism Award: Great Artistic Photographer - INVITED Post Award キュビズムとして認定されました。Thanks!

Cubism Award: Great Artistic Photographer - INVITED Post1 Award3

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