Jean Michel Kaneko 写真展 "名称未設定"

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「今夏にPaperPoolで開催された眞崎弘海さんの個展「PAROWOZY」 〜ポーランド蒸気機関車を拝見した時に、そういえば僕が初めて一生懸命写真をとったのは1969年、博多の筑豊本線と広島の呉線で撮ったSLだったという話で盛り上がったのだが、「せっかくなので展示してみませんか?」の一言で今回の展示があれよあれよと決まってしまいました。 この時の写真はすべてオリンパスペンEE2 で撮影したものです。 これらの他に東関東大震災直後の東京という大都会の写真ともっとも新しい、音楽をテーマにした組写真を展示します。ぜひご高覧ください。

 本写真展は三つの組写真で構成しています。

組写真その1 "followed the steam locomotive in 1969"

 1969年3月東大安田講堂事件の余韻が覚めやらぬまま、高度経済成長の中、世間の人々は大阪万博開幕への熱気に包まれていた。そうした傾向は我が家も例外ではなく父が家族会議で来たる70年に大阪万博への旅をぶち上げていた。  そんななかで僕は万博旅行には行きたくない。僕の分の資金を小遣いとして先にくれ!それで僕は九州に蒸気機関車を撮りに行きたいんだと父にせがんだ。母はそういう僕の行動を我が家庭内の安田講堂事件だと笑った。お小遣いをくれなくても万博には行かないとだだをこねる僕に先に折れたのは父の方だった。発売されたばかりのオリンパスペン EE.2 を持って中学3年生に進級する前の春休み、僕は一路博多を目指した。この旅が写真を撮るという行為のためにはじめて起こした行動だった。  品川駅を10時過ぎに発車する急行「高千穂・桜島」に乗って福岡県の折尾に到着するのは翌朝の5時。今の大井町線の端っこにあるような、あんなボックスシートに腰掛けて何をして過ごしたのか今となっては全く記憶がない。現地についてただひたすら写真を撮ったことだけが記憶に残る。筑豊本線には架線もフェンスもなく、ましてテッチンと言われるカメラマンの姿もない時代だ。この組写真、followed the steam locomotive in 1969 には僕の写真の原点が詰まっている。

組写真その2 "東京墓場"

 2011年3月11日、近年未曾有の大地震が東関東を襲った。宮台真司は2011年はアートが自然に負けたと言い放ち、2012年はアートはこの大震災のように人をコペルニクス的に転換させる役割を取り戻さなくてはいけないのではないか?と提言した。篠山紀信は人間にとって大変なことには違いがないけれど地球がちょっと自分の形を変えただけじゃないか?と言った。それでもカメラマンとして何かできることはないか?と自分に問いかけたそうだ。皆が、そんな議論をしている時、報道写真家・渋谷敦志さんは人一倍早く南相馬の瓦礫の中で撮影を開始していた。カメラマンを取り巻く状況がそんな時、写真に携わるものは何かそわそわした気持ちだったのではないかと思う。  僕も皆さんの後を追うように南相馬市に入り撮影をしたけれども、その時はだたこの目の前の映像を記録として残さなくては!と言う想いだけでアートも芸術もへったくれもなかったけれど、一連の被災地の写真のシリーズで友人の写真家・新橋克裕氏が主催する噂の写真展へ組写真で出展した。その撮影の最中だったと思うのだが、荒木経惟さんが今のニッポン、東京の高層ビルが墓石に見えるよねと話していらしたのを聞いて、青山墓地の墓石の間に高層ビルを配置してみようと撮ってみたのがこのシリーズ。あれから復興はどこまで進んだのだろう?もんじゅから燃料が取り出せず廃炉もままならないなどと言う、第二次世界大戦中から何一つ進歩のない我が国の政治家の無責任体質が再び明らかになりつつある今、六本木ヒルズ東京ミッドタウンも改めて無責任大国ニッポンの墓石に見えて来るような気がする。

組写真その3 "音楽のある風景 ver.Ⅲ ソリストの調べ"

 音楽ライブの撮影はもうずっと昔からやっていたと言う事実と、写真とは関係なく若い頃からクラシック音楽が好きだったと言う事実が、いつの間にか歩み寄って、気がついたら仕事の一つになっていた。もちろんプロの音楽家の撮影を任せていただきご指名頂くようになるまでにアマチュアのミュージシャンは限りなく何万枚もとっただろうし、お笑いのステージなども1万枚はくだらないだろう。そう言う経験の中でステージで音楽家が光学的に被写体としては勿論のこと、人間としても、その奏でる音も光る瞬間が前もって予測できるようになったのかもしれない。最初に撮影したプロの音楽家は COCO Farm Winary のステージに立った古澤巌さんとか渡辺香津美さんで、そのあとに醸造部長の Bruce Gut Love も交えて一緒に COCO Farm のワインを飲んだのも良い刺激になったと思っている。そしてある時友人の伊東史隆氏の縁で声楽家の浪川佳代さんと率いる声楽チームと合唱団、指揮者の曽我大介さんを撮らせていただけるようになり今日に至った。曽我さんのご縁で次から次へと現れる才能に翻弄されっぱなしではあるものの、被写体が才能溢れるアーティストばかりなので写真がアートである必要もない。撮っている方は才能に触れてただただエキサイティングに楽しんでいるだけ。音楽家達との縁に只管に感謝である。

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