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A fulfilled life - Jean Michel Kaneko Photograhie

知足是福。音楽家・演奏会の写真がメインのカメラマン、公開OKの作品は掲載中。IT企業役員、趣味で料理の YouTuber、趣味は仕事と同様大切でロードバイクと料理とワインフリーク。

中村太地 チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲ニ長調 作品 35

チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲ニ長調 作品 35

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コンサート2曲目、若干のステージ模様替え後オーケストラの入場とチューニング、柳澤マエストロに続いて颯爽と入場する中村太地さん。簡単なご紹介以外は音楽の解説はせず、16枚の写真をお届けします。低中音の和音、中高音の和音、ピッチカート、音場を創る中村さんの素晴らしい表情をぜひ最後までご覧ください。

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1000人弱の聴衆の見守る中、オーケストラ主導で第一楽章が始まる。最後にこのコンサートに足を運ばれた方のTweetをピックアップしておきますのでそちらもご覧くださいね。

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中村太地さんは福岡県北九州市出身、3歳よりヴァイオリンを始め、ウィーン国立音楽大学にて学び、2017年にブラームス国際コンクールにて日本人初の優勝を飾り、直後に行われたリピツァー国際コンクールでも第3位入賞。

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これまでに新日本フィルハーモニー交響楽団サンクトペテルブルク交響楽団など内外多数のオーケストラと共演、僕がお世話になっているワイン友達でもある曽我大介マエストロとも多数共演されており、現在はウイーンにを拠点に音楽活動をされる若手の実力者です。

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ひとつだけ音楽について語ると、このチャイコフスキーのヴァイオリンコンチェルトは、中村さんが優勝されたコンクールに冠されたブラームスのヴァイオリンコンチェルトと同じ1878年に作曲されましたが、ブラームスの作品が翌年1月ブラームス自らの指揮でヨーゼフ・ヨアヒムの独奏、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の演奏で大成功を収め、ベートーヴェンメンデルスゾーン、と並び称され3大ヴァイオリン協奏曲と言われる様になったのに対して(...次の写真の後に続く)

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チャイコフスキーは完成した楽譜を早速パトロンであったメック夫人に送るものの夫人からの賞賛は還らず、初演の依頼をした当時のロシアで最も偉大で高名なヴァイオリニスト、ペテルブルク音楽院教授レオポルト・アウアーから演奏不可能な楽譜として初演を拒絶されました。結局初演は2年6か月の歳月を経てライプツィヒ音楽院教授となったロシア人ヴァイオリニストのアドルフ・ブロツキーが着目し彼の独奏により、ハンス・リヒター指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏で行われたが、リヒターもウイーンフィルも理解を示さず『悪臭を放つ音楽』とまで酷評されてしまいました。(...次の写真の後に続く)

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この曲が日の目を見るのは、ブロツキーが酷評にひるむことなく、様々な機会にこの作品を採り上げた結果として、この作品の素晴らしさが理解されるようになってからでした。初演を拒絶したアウアーもこの作品を演奏するようになり、ペテルブルク音楽院に学んだ弟子たち、後に世界的なヴァイオリニストになっていくエフレム・ジンバリスト、ヤッシャ・ハイフェッツ、ミッシャ・エルマンにこの作品を教え、彼らが名演奏を繰り広げるまで待たなければなりませんでした。そしてその成果でベートーヴェンメンデルスゾーンブラームスに並び4大ヴァイオリン協奏曲と称されるまでになったのです。

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偉大な芸術は、その誕生時は他の偉大な芸術家ですら理解ができないということもある典型です。もし僕たちがこうした今日の名声の背景を知らずに聞いたとしても素直に感動できる感性を持っていたいものです。

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この日の演奏、皆さんもご存知だとは思いますが通常クラシックのコンサートでは第一楽章と第二楽章の間に聴衆の拍手はありません。例えばこの曲目で言えば、名演と言われる1995年、ベルリンで行われたクラウディオ・アバード指揮ベルリンフィルでの 五嶋みどりさんの演奏ももちろんそうでした。しかし、この日は第一楽章が終わると拍手がありました。

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音楽は語らないと宣言していたのにいろいろお話ししてしまいましたが、これはこの日の演奏を語ったわけではなく、この曲のエピソードとしてのお話ということでご容赦ください。

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第三楽章の最後の音を弾き終わった瞬間の中村さん。

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柳澤寿男マエストロとガッチリ握手。

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アンコール・ J.S.バッハ,無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番ホ長調 BWV1006より「III. Gavotte en rondeau」

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聴衆の方だけでなく、オーケストラ、マエストロ、会場にいるすべての人が聴衆になりました。

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コンサートに来場された方々から寄せられた称賛の Tweet



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