モロッコ料理 Le Maghreb
よりオリジナルな北アフリカ料理へ
先日ご紹介した神宮前の『Hannibal Deux』のお料理はチェニジアの伝統的な料理にフランス料理の手法を取り入れて洗練されたものになっていました。今回はうちの近く二子玉川のモロッコ料理店『Le Maghreb』へ行ってきました。Wikipedeia のモロッコ料理 によれば『モロッコ料理(Cuisine of Morocco)は、ベルベル料理が元になり、アッバース朝時代にアラブ人によってもたらされた、サーサーン朝ペルシアの影響を強く受けた中東料理、ムーア人と後にスペインを離れたモリスコ人によってもたらされたアラブ・アンダルシア料理、それにトルコ領土であったアルジェリアからもたらされたトルコ料理に影響を受けている。最も有名なモロッコ料理であるクスクスは、ベルベル人が食べ始めたと推測されているが、その歴史は大変古く誰が食べ始めたか確かではない。』とあるように料理のイメージは『Hannibal Deux』に比べるとより土着的だったが、味は素晴らしかった。
- モロッコの地ビール「カサブランカ」独特の酸味がビールに骨格を与えていた。
- 焼きナスのペースト、焼いたナスの身をオリーブオイルで練ったもの。ピザ生地、あるいはナンのようなパンで食べる。
- モロッコ風の野菜の煮込み、クミンやシナモンなどがきいていてガラムマッサラを思わせる。ササン朝ペルシャを通じてカシュミールのガンダーラと交流があったというのも頷ける。
- モロッコ産のロゼワイン、Guerrquane Rose。北アフリカ諸国のワインはフランスに倣って原産地統制管理がなされている。濃厚でシェリーのようなアフターが印象的。
- クスクスロワイヤル、王家のクスクスとでも呼ぶのか。ゴージャスなクスクスに名付ける名称。モロッコ伝統の塩味のラグー。上に乗るのはケバブで北アフリカで育てられている羊は、脂肪のほとんどが尻尾の近くに蓄えられるので羊肉特有の臭みがほとんどない。日本でそれを再現するのは余分な手間が必要だがこの店はそれを成し遂げている。
モロッコと言えばカサブランカでハンフリー・ボガードとイングリット・バーグマンの同名映画を思い起こさずにはいられません。この店のインテリアは勿論あのボギーの Ricks Cafe ほど広くは無いのですが随所にそのアトモスフィアが感じられてライカレンズでモノクロ写真も数枚撮ってみました。映画の美しいモノクロのトーンとキャパやブレッソン、木村伊兵衛の写真になにか美しい共通点を感じたからです。考えてみれば当時の映画用のフィルムを写真に転用して 35mm カメラを作ったのがライツだったわけでそれは当然の帰結なのかも知れませんが・・・
- エキゾチックなエントランス。
- 店にはテラス席もある。これからの夜は気持ちいいかもしれない
- モロッコ民芸の織物が使われた店内
- ギャルソンとマダム。
クスクスのラグーはトマトが入らない野菜のブイヨンを主体とした塩味のものでこれがまた日本では手に入りにくい大粒の殆どスパゲッティーを砕いたようなセムールとのコンビネーションは僕の好みにピッタリあいました。トマトを使わないのが伝統的なモロッコスタイルだそうです。そりゃ当たり前だよね。トマトは16だか17世紀に中南米からヨーロッパにもたらされたものだからヨーロッパは勿論のことその植民地だったアフリカにとっても新手の食材のわけですから。
- エントランス付近にある雑貨コーナー 2枚
- 異国情緒満点の店内
モロッコ産のロゼワインがこの濃厚な料理にとてもよく合いました。ワインは口に含めば濃度があってシェリーのようなアフターが鼻腔から抜けていきます。こんなロゼワインを飲んだのは始めて。唯一残念だったのがアリッサでチューブ入りの既製品だと思います。アリッサは自家製でコクも旨味もあった『Hannibal Deux] 』に軍配。こんどのバーベキュー用に大粒のセムールとスパイスを買って店を後にしました。大満足。