KumarinX Kaneko Ryogen Jean Michel Kaneko Photography MacOSX

幸せはガラムマサラに乗って!至福の仔羊カレー

説一切有部の比丘たちも食べたに違いない?

 急にカレーが食べたくなったので手短にカレーを作ってみる。イメージはカシミールカレー。インド料理では一番辛いと言われているが本当のところは知らない(笑)。当時の文献にあらわれるケイヒンカシミール地方を表したのかプルシャプラを擁するガンダーラ一帯を表したのか議論が分かれているようだけれども、五世紀初め頃北西インドを旅した法顕(337~442)によれば仏鉢譚に由来する二商人が成道後のブッダに布施をした食物を、直接手で受け取るわけにはいかないからと逡巡するブッダに四天王が四つの鉢を授け、四天王のうちの一人だけの鉢を使う訳にはいかぬと考えたブッダが神通力を持って鉢を一つの巨大な鉢に変形させて四際画然と二商人の食物を受けたと伝えられた巨大な鉢はプルシャプラにあったことになっているが、その鉢はまたいつも信者たちによる布施の食物で満たされていた。まさかそこに仏教信者たちがカシミールカレーをなみなみと注ぎ入れたなんてことは無いにしても、原始経典に頻出する信者によってブッダに施された「柔らかい食べ物と固い食べ物」という表現のうち「柔らかい食べ物」とはインド古来の煮込み料理、すなわちいわゆるカレーに他ならないと僕は思うのだ(笑)。そんなわけでカシミール地方を拠点に多くの寺院を擁しアビダルマの研究ばかりでなく大乗の専売特許の如く言われもする布施を教団経営の軸に据えて実は積極的に在家信者に勧めた説一切有部の比丘たちが人々に振る舞われた煮込み料理がとてつもなく辛い羊の煮込み料理だったのかも知れないなどと考えれば楽しいじゃないか。

 カレーは沢山作れば美味しいという説はもっともだが作りすぎれば不経済なことこのうえないばかりか何日も同じカレーを食べ続けなければならない。その言い訳としてカレーは沢山云々や寝かせた方が味が馴染んで旨くなる云々しているのだとすれば、自分の計画性の無さをタナに挙げたとしても惨めである。計画性もなく料理を作りすぎて余らせることは道元禅師も強く戒めたところでもあるのだ。そこで少人数でもその日の内に食べ切ってしまいそのうえ美味なるカレーにチャレンジしてみる。おい、おい、仔羊を食べようというヤツが道元禅師なんて持ち出すんじゃないよだって?いいえ、インドのブッダの教団は信者の布施であれば肉であれ魚であれ何でも他べたのである。まぁ難いことは言いなさんなって! 

f:id:lovelovebear:20060412205628j:image:w150 f:id:lovelovebear:20060411223142j:image:w150 f:id:lovelovebear:20060411223328j:image:w150 f:id:lovelovebear:20060411224905j:image:w150

  1. 少ない量のカレーをなんとか美味しく出来ないかと買ってきたインド風味のマテリアル。左から Mascott インドの味カレーペースト、マコーミック ガラムマサラソース、ハウス食品 ホットガラムマサラ、SBカレー粉。これらを万遍なく使えばインドカレーに必要な大凡の香辛料とチャツネの類は確保出来ることになる。
  2. カシミールと言えばやっぱり仔羊。塩胡椒した肉を背脂を下にしてテフロンのフライパンで焼き上げる。全体の色づけにも仔羊自身から出た油を使えばよいので背脂を先に溶かしてしまい、あとはスプーンでその油を肉全体にかけながら焼く。フランス料理ではアロゼしながら焼くと言う。焼けあがった肉は煮立った血液が少し冷めて落ち着くまで休ませる。仔羊から出た油は捨てない。←理由は後述。
  3. 出来上がったカシミール風煮込みを仔羊にかけたところ。実際ソースはとっても簡単に作る。鍋にオリーブオイルを少量熱し、タマネギ小1個、人参小一本、セロリ一本、大蒜2片、生姜親指大を微塵切りにして炒め、しなっとなったらカレー粉小さじ3杯、ホットガラムマサラ1/2瓶、赤唐辛子の輪切りを一掴み加え、ある程度コクのある状態にしたスープストックを 250cc くらい入れる。さらにガラムマサラソース1/2瓶、カレーペースト1/2瓶を加え煮立ったら灰汁を掬う。灰汁が取れきったらフライパンに残った仔羊の脂をすべて加え、さらにフライパンの底に残った仔羊のうま味を今作っている途中のカレーソースを鍋から取って少し入れて煮立てて溶かしこんで再び鍋に戻す。30分くらい煮込んでソースのできあがりは 300cc くらい。小麦粉は一切使わない。これでちょうど二人で食べきるくらいの分量。仕上げに松の実をたっぷり入れる。
  4. 仔羊の肉は旨く焼けあがればスプーンでストンと切れるくらいに柔らかくなる。休ませて落ち着いた血液はほのかにピンク色の美しい色になり旨味が口の中に広がる。実際はソテーだけど気持ちはラグーというのはこういうことを言う。

 今回のカシミールカレーは大成功。まさに至福の仔羊カレー。ナンで戴くの美味しいけれど今日は手に入らなかったのでバケットで。