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COCO FARM WINERY

Culture お酒 & 料理

盛況だった COCO FARM & WINERY 2006 収穫祭

 今年は久しぶりに COCO FARM WINERY の収穫祭に行ってきた。友人たちとともにいささか団体旅行の感がぬぐえないツアーだったけどとても楽しかった。日曜日の古澤さんのステージはほとんど大雨の中だった。しかし野外の特設ステージの寒さと雨の中誰一人会場を去ろうとする人はいなかった。園長先生の川田さんとも久しぶりにお会いして挨拶することが出来た。無沙汰をお詫びするとともになによりお元気な姿に喜びをお伝えすることが出来た。先生はわたしのためスタッフに醸造部長のブルースを呼びに行かせたばかりか、ご高齢の先生が立ったままわたしに頭を下げてくださるので恐縮してしまって「おかけください」と懇願するわたしに対して「ブルースが来るまでは」とおっしゃられ立ち続けられた。

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  1. 民族衣装で来客を迎えるスタッフ
  2. 客席となったぶどう園の斜面から特設ステージを見る
  3. 大雨にもかかわらず聴衆は引かない
  4. 場内で来客を誘導するスタッフ

 COCO FARM に対しては昨今「ビジネスは拡大して成功したがワインはちっとも美味しくならない」という半分やっかみとも思える批判があることをわたしは承知している。しかしこれについてはちょっと待てよとわたしは言いたい。まだ COCO が立ち上がりようやく国産のワイナリーとして軌道に乗りだした頃のイベントの挨拶で川田先生は次のように話された。「こころみ学園のような学校が国の援助もロクに得られないころ知的障害を持つ子供たちと何とか生きて行こうと思った。うちのような学校を卒業しても彼らの何割かは社会に受け入れられず仕事に就くこともできない。そこで彼らの親御さんとも話し合い彼らが自立できる事業を模索した。その結果選択したのがワイン作り。国の福祉なんか糞食らえだ!」

 「国の福祉なんか糞食らえだ!」に、聴衆は沸き大きな拍手が起こった。COCO FARM にとってワインの品質を高めることは確かに批判の通り重要なことだ。しかし彼らにはそれと同時に守らなければならないことがある。それは川田さんの決意と宣言のようにこころみ学園の園児、生徒たちの生活を守ることなのだ。あくまでそれがベースとなってワイナリーは経営される。先述した批判者たちは成長して人々の共感を集めるようになった COCO fARM のイベントを「すっかりビジネスにして金を儲けている」と言う。しかしこころみ学園を守るためにお金は稼がなくてはならない。儲けて何が悪いのだろうか。

 批判者はワイナリーはより良いワイン作りをするべきであるという正論を、それも良いワイン作りはドメーヌがネゴシアンより優れているという偏見に立った正論を振りかざすことが正義であるように振る舞っている。わたしにはその批判の根底にあるものがまじめな日本のワイナリーがドメーヌ方式で COCO FARM より品質の高いワインを作っているにもかかわらず自社畑を持つとは言えネゴシアン式にワインを作っている COCO FARM より市場に評価されないというやっかみにしか見えないのである。市場はこころみ学園とセットになった COCO FARM のストーリーを含めて評価し支持しているのだと思う。ルイ・ラトゥールはかつてこう言っていた。「ネゴシアンは最近ワインの品質において批判されるが、それはワイナリーが提供する品質の一面しか見ていない。客があるレストランにいつ行っても希望するこの前と同じワインを飲むことが出来るということが我々ネゴシアンが市場に提供する市場が求める品質である。」と。

 批判者たちのやっかみがまかり通ってしまう滑稽さは日本人が条件を捨象した匠の仕事を個人のロマンに期して異常に高く評価する幼稚性に支えられていると思う。個の匠に傾倒する人々の幼稚性は、ビジネスも芸術も市場も個人的趣味も一緒くたにしてしまい匠を前面に押し出したエンジニアリングや市場規模などのビジネスシステムは無視してしまう人情であるとも言える。 COCO FARM はそれを逆手に取った。日本人の社会性の欠如と幼稚さこそ商品に匠を付加する好条件でもあるのだがそれは当然のように伝説=レジェンドで置き換えることも出来る。 COCO FARM は匠を打ち出すのをほどほどに押さえ、こころみ学園と園長川田のストーリーを伝説化して売っているのである。それは我々消費者がワインを始めとする COCO FARM の商品を買うことによって園児たちの生活が支えられるという園長川田先生の宣言「国の福祉に頼らない」ということちゃんと辻褄があっているのである。