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A fulfilled life - Jean Michel Kaneko Photograhie

知足是福。音楽家・演奏会の写真がメインのカメラマン、公開OKの作品は掲載中。IT企業役員、趣味で料理の YouTuber、趣味は仕事と同様大切でロードバイクと料理とワインフリーク。

Maria Callas en concert – The Hologram Tour in Tokyo2020

ホログラムで再現されたマリア・カラスのコンサートが東京へ

エイベックス・クラシックス・インターナショナルより
エイベックス・クラシックス・インターナショナルより

高野百合絵さんのハバネラを拝見して久しぶりにカラスを聴く

Youtube Creators からメッセージが来て内容は Jean Michel TV の視聴回数が先月 +962 視聴時間が +5763 頑張って収益伸ばしましょう!みたいなものなんですが、今月は3月ということもあって「#SheInspiresMe を使って国際女性デーをシェアする - 国際女性デーに合わせて、多くの人を勇気づけている女性クリエイターへの賛同をファンに表明してもらいましょう。YouTube では、ハッシュタグ #SheInspiresMe がつけられたファンのコメントを、クリエイターのイラストとともに YouTube のソーシャル チャネル全体で紹介する予定です。」と来たので高野百合絵さんのMV動画にこんなコメントしたんです。
『Bravo! Here's Amazing your voice, kid. I think this is the beginning of a beautiful pastime. #SheInspiresMe』(←このコメントはコメントで外国の方から共感をいただきました)

というのは高野さんは何回か撮影もさせていただいてるメゾソプラノの方なんで、このビデオのご案内ただいて、これはこれで素敵なハバネラ (アリア)なんですが、やっぱり現代の若い方のを聞くと聞きたくなるんですよね、マリアカラス。で一昨日くらいからカラスばっかり聞いていたんですが、ちょっと調べたら例のホログラムで映像が出演する Maria Callas en concert がいよいよ日本にも5月にやってくるんですね。フランスのテレビなどでは賛否両論はありましたけれど、やっぱり喜んだ方、感動した方のほうが圧倒的に多い気がします。

エイベックス・クラシックス・インターナショナルより
エイベックス・クラシックス・インターナショナルより

ホログラムで再現されたマリア・カラスのコンサートがついに東京へ

昨年の美空ひばりさんが賛否両論分かれてしまったのは、マリアカラスの方は歌声は全盛時代の歌声を使ってオケを合わせていくのに対して、ひばりさんは声もコンピューターで再現したものだったり、生前にはなかった新曲を歌わせたり台詞を喋らせたりしたからでしょうか?
このツアーに使われた音源は日本でも既にワーナークラシックから発売されていて僕も持っています。何回聞いても飽きないどころか何回でも聞きたくなる魂をわしづかみされるようなカラスの凄さが伝わってくるアルバム。Apple Music なので iPhone でも聞けたりするのですが、それを聞くとカラスに会いたくなって結局 Youtube で画質はわるいけれど当時のムービーを見てしまいます。

いつでも会えるYoutubeのマリアカラス

www.youtube.com
こんなふうに再生リストも作って公開しているのでご興味ある方はぜひ!僕は母親の友人がくじら合唱団のメンバーで子供の頃はその方にピアノを習ったりもしていて、それでクラシック音楽を好きなったというのはあるのですが、オペラだけは言葉もわからないのでどうも馴染めなかった。

高校から大学へ進学した頃はカラヤン 、バースタイン、小澤先生一辺倒みたいなところがあって、オペラも聞かなくては!というなんか強迫観念みたいのがあって、カラヤン のトリスタンなんて努力して聞こうとしたけどどうもピンとこない。それが当時従兄弟が筑波大の研究生をやってる人がいて彼からマリア・カラスを教えてもらった。

言葉が分からなくても聞き手の心を鷲掴みにするマリアカラス

もう、なんだこれは!って感じで言葉がわからないなって関係ないんですよ。ぐいぐい引っ張り込まれた。当時はレコードしかなくて、たまにNHKで映像見るくらいでしたが。大学2年のときに当時の恋人、ジュゼッペ・ディ・ステファノと来日しました。

そのツアーの演奏はちょっとね、母の友人のくじら合唱団のソプラノの先生と変わらないんです、残念ことに(故人に対して失礼とは思いますが、ごめんなさい)。でもご本人がいるということが素晴らしかったように思います。大学を出てフランスへ行くことを決めていて、まぁ行ったのですが僕のフランス上陸は78年で彼女が生きている間には間に合いませんでした。

話を戻すと高野さんのおかげでマリア・カラスも聞こうとなって(だから #SheInspiresMe はぴったりなんですね)ジョルジュ・プレートル指揮パリ・オペラ座管弦楽団との録音は64年で、マリア・カラスがもう体重半分のダイエットに成功したあとなんですが、高音域が不安定だと言われ出したころのなんですが僕はこの録音はすごく好きです。この頃のことを彼女がジュリアード音楽院で講師をしているときの発言らしい(黒柳徹子さんが言っております)のですがこんな言葉があります。

マリア・カラスの音楽観

「太ったままでも、一オクターブ高いFの音を出す。そうすれば観客は喝采してくれるわ。太った醜い女は人生に二つ三つ、一オクターブ高いFを付け加えなくてはだめなのよ。」
国際女性デーで申し訳ないですがこれは僕の意見ではなくマリア・カラスの意見です。

この話に前後して学生にはこのように言っています。
『音楽家に必要なものは修練、テクニック、勇気、これだけでいい。一つの音を出すのに、この音でなければ、この音が唯一絶対だと、自分もお客様も思う様でなければ出してはいけないの。この音が作曲家が書いた音なのだからこの音でなくてはいけない、正確に出す、ただそれだけ』と。

このことについて、先のリンク先の動画の中で、確かかつて共演した引退したイタリアのソプラノの方が言っていたけど「彼女の場合は徐々に声が出てくるんじゃなくて、いきなり、正確に、ナイフを突き刺すようにズバリとその音が出てくるのよ」と。

閑話休題ジョルジュ・プレートル指揮パリ・オペラ座管とのカルメンのハバネラ "L'amour est un oiseau rebelle" を改めて聞いてみますと、

L'amour est un oiseau rebelle
Que nul ne peut apprivoiser,
Et c'est bien en vain qu'on l'appelle
S'il lui convient de refuser.

の次のフレーズ

Rien n'y fait; menace ou prière,
L'un parle bien, l'autre se tait;
Et c'est l'autre que je préfère,
Il n'a rien dit, mais il me plaît.

この部分の「R」「L」の発声分けの完璧さがすごい!もともとギリシャの人でイタリアが長いから「R」も巻き舌になりそうなんだけど、ちゃんと喉の奥が震えて鼻がつまるように声が前に出てきていて、ゾクゾクする。これは申し訳ないけど日本の方にはないなーと思う。

50年〜60年代の録音は、言葉の意味なんてわからなくても、そんなのを超えて魂を直接掴まれて揺さぶられるような圧倒的な音があります。当時の録音を聞くと、もちろんオペラの美しさは必要なんだけど僕ら観客が求めるものは美声ではなく感動なんだとよくわかります。

ステージ写真家の大先輩・木之下晃さんのマリア・カラス

マリア・カラス 東京文化会館210月27日、600㎜ f5.6の望遠レンズで撮影。翌年「トスカ」の公演で来日を予定し、「そのとき持ってきて見せて」とカラスに頼まれたが適わず、見せられなかった写真。
木之下晃撮影 1974年10月27日東京文化会館 600㎜ f5.6。翌年「トスカ」の公演で来日を予定し、「そのとき持ってきて見せて」とカラスに頼まれたが適わず、見せられなかった写真。

74年、ツアーに随行して写真撮っていた大先輩、カラヤン にももっとも信頼されていたと言われるステージ写真家の故木之下晃さんは「ファインダー越しにみると大きいんだよね、えっと思うくらい。でも彼女が実際に大きいわけじゃない、オーラなんだよ。美人で技術もあって声も綺麗な人はたくさんいるけどあのオーラはすごいと思った。彼女は特別だった。写真撮ってて一番重要なことはオーラじゃないかなと思う」と言ってます。

Youtube のおかげで僕たちはいつでも彼女に会うことができるし、彼女は僕たちの心の中に永遠に生きている。京橋のフランス料理店、シェ・イノの井上旭さんも言っていたけど井上さんの心の中には完璧に生きているんですね。井上さんがパリのマキシムで働いていらっしゃる頃、マリア・カラスも常連でよく来たそうです。ある時マキシム・ド・パリ定番の仔牛のパイ包み焼きを仔羊に替えて欲しいと注文されて、ちょうどその時、ビアンド(肉焼係)を担当していた井上さんが彼女のために仔羊で作ったのだそうです。

マリア・カラスの名を冠したフランス料理

左 Filet de Boeuf rôti en Croûte sauce Périgueux 右Carré d'agneau rôti en Croûte sauce Périgueux
Filet de Boeuf rôti en Croûte sauce Périgueux   右Carré d'agneau rôti en Croûte sauce Périgueux

左側はパリでも一般的だった牛フィレのローストパイ包み焼き、ペリグーソース添え、右が井上さんが編み出した仔羊の同様のお料理。写真は今のフランスで作られているものです。そして下の写真が井上さんのレストラン、シェ・イノの仔羊。

シェ・イノの仔羊のロースト "マリア・カラス"
シェ・イノの仔羊のロースト "マリア・カラス"
今でもこのお料理を作っていると彼女がやってきて乾杯できそうな気がしますと仰ってました。
ギリシャの人だからやはり羊がお好きだったんでしょうね。とても喜ばれたそうです。

そういえば、森麻季さんの整形、鼻筋から眉にかけての造形はマリア・カラスの容姿の再現を目指したんじゃないかと思う今日この頃www


Youtube もよろしくお願いします。